私たちのこと
“メチャック”とはチベット語で、火花を作るための鉄の刃を持つ道具のこと。

チベット文化の再生に火をつけることができうるコンテンポラリー・チベット・アート。このコンテンポラリー・チベット・アートを奨励することこそ、メチャック・センターの使命であります。
数人のアーティストたちが世界各地で孤立して創作活動している。それが今日、チベット人アーティストが置かれている状況なのです。当センターは非営利団体であり、このようなチベット人アーティストの共同体を作るべく活動しています。この活動は必然的にチベット内において活動しているアーティストとの芸術的また文化的な橋渡しへと広がっていくこととなります。このような努力がチベット社会の文化的活気そして成長に大いに貢献すると私たちは信じています。

昨今、伝統的社会の ‘現代’ アートは新しくまたわくわくさせられる発展であり、このような伝統的社会において文化を再び活気づけるうえできわめて重要な役割を果たしてきました。その真正でかつ普遍的な表現がゆえに自らの文化を探求すると同時に、世界のより多くの人々と分かち合われるアートであります。このような新しいアートはおおざっぱには “transvangarde”(トランスヴァンギャルド)と呼ばれており、「他の文化からの要素を自らの作品に取り入れながら自らの文化の最前線で活動する」アーティストの作品のことを意味しています。
このアートと社会との象徴的な関係は必ずしもアートを直接鑑賞することで起こる、またはそこに依存するものではありません。このようなアートがその社会における作家、映画監督、音楽家、またその他の物語作家の作品へ与える影響を通じても、アートと社会との象徴的な関係は起こるのです。自己決定の過程として芸術活動に携わっているアーティストの作品は自ずと社会全体に影響を与え、文化再生の触媒となるのです。そして、社会レベルで重要な政治的再生が起こる前に文化の再生が起こらなければなりません。
たとえ、それがチベット内であろうが亡命先であろうが、新チベット・アートはチベットの人々がさらされている心の混乱に語りかけることができ、過去と現在の文化的環境の間の対話にチベット社会を関与させることができると私たちは信じています。いまだ現実には存在しない空間を創造する、というこのようなアートの能力こそが私たちが文化として存在するようになるものを探求し、形作り、定義づける一助となるのです。そして、世界の動きの先端にいても精神的中心軸をいかに保つか、その一助ともなるのです。言い換えれば、コンテンポラリー・チベット・アートは、新しいイメージ、そして私たち自身のビジョン、また私たちの日々変化する世界観を探求する力を持っており、その力が中国、インド、そして西洋文化の圧倒的な影響に対する極めて重大なバランスを提供しているのです。またこのバランスこそがこれらの国々からの圧倒的な影響を自分たちの生活に取り込む前に、まずはそれらをしっかりと評価することを可能にしてくれるのですが、このバランスを持ち合わせているチベットの若者はほんの少数しかいないのが現状であります。だからこそこのバランスを提供するコンテンポラリー・チベット・アートの力が大切になってくるのです。

過去50年間、亡命生活の中でチベット人が突き動かされてきた文化的表現とは伝統の保存であり、その努力は多くの意味において目覚ましい成功を収めてきました。しかし、私たちが引き続き自らの過去ばかりに目を注いでいては、文化として成功裏に生き残っていくことができない時代に私たちは生きています。事実、一方では正統な文化の固定化・簡素化、また他方では文化芸術品の偽物の大量生産が行われており、また自分たちではいかんともしがたい文化的変化の状況に急落していっている人々もいます。こういったことが多くの人々を望ましくない方向へと運命づけていっており、今日、チベット社会を脅かしているのです。このような要因全てに応じるべく、メチャックは、向こう50年間に政治的に何が起ころうとチベット社会に対して重要な貢献を果たしていけると私たちは信じています。コンテンポラリー・アーティストへの支援、そして奨励を通じて21世紀の発展しうる活気あふれるチベット文化に向けて活動することを使命とする唯一のプロジェクト、それがメチャックなのです。
「自らを変化させることを終えたとき、あなたは終わる」
ベン・フランクリン